漂流

大勢の人がいる中でたった一人いるときのあの孤独と嫌悪と一片の心地よさは何だろうか 私が私でしかない中で多くの人々の間を過ぎ行き一人の私を皆が笑っているのではないかと被害妄想にさいなまれる羞恥と諧謔と逆説的な優越感は何だろうか 人の海を泳ぎ人の島に辿り着く 一人で そこにいる人はただ袖すり合うだけの人で他生に縁があろうとも今生の私とこれ以上の縁を欲するのか 泳ぐ泳ぐ 息継ぎをする 泳ぐ泳ぐ 息継ぎをする どこまで行くのか 何があるのか 私はこのまま一人なのか 冗句をジョークと笑い飛ばせぬ泳ぎ疲れた私に誰かタオルをかけてはくれないか 大きなまっさらな柔らかいタオルを 使い古しでもいい 私の裸の背中を包み込んでくれるなら ああ ああ 泳ぐ泳ぐ どこまで泳ぐ

 

2013.8.18