僕のほしいもの

夢の中にまで出てきたあの少女は

もうすっかり大人の女になっています

腕も脚もすらりとのびて

髪も黒々と艶やかで

 

まだ大人になれない僕は

こうして夜の音を独り聞きながら

明日までの道のりを指折り数えて

白々明けるまでの時を噛みしめているのです

 

友人たちと自分と

何が違うのかと悩んだふりをして

ふりをして すぐに諦めて

胸のもやもやとしたそいつをひとまず措いておきます

 

真夜中 不意に目を覚ましたとします

そういうときはたいてい 胸のそいつも目を覚まします

闇よりなお大きく広がったそいつのいる僕の胸は

いったいどれほど大きいのでしょうか 過去ほどでしょうか

 

生きています ひとまず生きています

生きようと思ってもいます 神様

一人で生きられる強さをくださいとは申しません ただ

一人で生きられない弱さが欲しいのです

 

2015.5.16