流行歌

真夏の雪は僕と君の上にしか降らない

照りつける太陽を反射する雪は 思ったよりも美しくなくて

思わず苦笑い

嘘みたいな雪の白さは

入道雲よりも ソフトクリームよりも 君の肌よりも

嘘だ

本当のものがみたいと君が言うから

ポケットの中を必死に探すけど

コーラの瓶の蓋と 潰れた折り鶴と 十円玉と

あとは一握りの嘘しかなかったから

これが本当のものだよ と流行りの歌をうたったら

君はずいぶんと喜んでくれた

今の僕のポケットには 三欠片ばかりの嘘と

あの時言えなかった本当が入っている

 

2013.8.17